有限会社イーアレー
■現在位置[サイトマップ]:ホームIT事例>コラム

IT事例 コラム

←前のコラム
次のコラムへ→
「C to B」企業が市場を制する?
インターネットの普及とともに電子商取引(EC)も活発となり、新聞紙上などでも「B to B」だ「B to C」だと賑やかに取り上げられている。「B to B」は企業間の取引を、「B to C」は消費者向けのネット販売を示すが、最近では「to」を「2」に置き換えて「B2B」とか「B2C」とかと表現する人達もいる。
あるメーリングリストを見ていたらこれらの用語についての質問が出されていた。
自分も含めて業界の人達はこのような用語に馴染んでいるし、日常茶飯事で使っているかも知れないが、世の中への浸透度はまだまだではないかと思われる。浸透する前に一言。

ネットを上手に使えば消費者に情報を容易に伝えられるし、消費者の方ではそれを見て直ぐに発注出来るので、新しい販売形態として注目されるのは当然の事である。
事実、ネット販売の伸びは大きいし店舗数も急増している。通信白書によれば平成11年の市場規模は3,500億円で前年の1,665億円に対し2倍以上の伸びを示している。店舗数も2万店を越えている。
但し、ネット販売の伸びが大きいと言っても、日本における小売り業全体の売上高(約150兆円)に占める割合は1%にも満たない。これをどう見るかは人それぞれであるが、流れはネット販売の方向に向かっている事は間違いないであろう。
この流れに乗って、ネット販売を立ち上げようとしている人達向けに「指南書」の類が沢山出されている。CRM(Customer Relationship Management)やワン・トゥ・ワン・マーケティング等の本も書店に所狭しと並んでいる。

先日、ネット販売を立ち上げようとしているある起業家とミーティングを持った。
世の中には自分が提供しようとしている商品を欲している人達が大勢いるはずだが、その人達を顕在化させ効率的なマーケティングを行うテクニックはないものか、といった話であった。インターネットは「マッチング・ビジネス」に向いているように思われるが、現実にはそう簡単ではないようだ。
ネット利用者の行動は気まぐれである。野次馬的に人気サイトに殺到するかと思えば、自分にとって居心地のよいコミュニティにどっぷり漬かっている場合もある。一般的に言える事は独立心が強く、自分で物事を判断する気質を持っているという事である。
「提供者側の情報に簡単に乗る事はない」「提供者側のマーケティングの対象として利用される事を嫌う」等である。ネット社会における人々の行動様式や心理を良く理解して掛からないと成功はおぼつかないように思われる。

インターネットの登場により消費者への情報提供のルートが短縮し、ニーズを把握しやすくなった。色々なポータルが出来、メールマガジンがたくさん送られてくるようになってきた。そこには広告や商品情報が掲載されるようになり、消費者の目に触れる機会が飛躍的に増大した。ところがそれだけで、購買動機に結びつくのだろうか。

拙著「間違いだらけのIT常識」(明日香出版社)の取材先での話である。

「どこの会社も顧客重視と言っているが、それでいてB to Cと言っているのはおかしい。むしろC to Bではないか。」という事で大いに盛り上がった。

インターネットという道具を使い、情報提供の方法が高度化したというだけでは、本当の意味でインターネットを使った事にはならない。
インターネットの特長は「オープン」「双方向」「オン・デマンド」「バーチャル」なところにある。これらの特長を生かし、消費者と一体になった商品作りやマーケティングなどが求められる。ペットをテーマにしたコミュニティと連携したTシャツのネット販売が好評だと言われているが、「参加」、「共創」というキーワードでマーケティングが必要とされる時代となってきた。
前回、デジタル・デバイドについて言及したが、ビジネスの世界にこそ激しいデバイドが起こる事が予想される。C to Bのマーケティングを確立した企業だけがビジネス・デジタル・デバイドの時代に生き残れるものと思われる。

Business@niftyコラム「eビジネスの現場」2000.12.26掲載

←前のコラム
次のコラムへ→

 
| ホーム | IT事例 | プロフィール | お問合せ | サイトマップ |
© 2001-2005 e-alley