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インターネットを活用したビジネス事例 
「米米ひろば」

【 米米ひろば 】

インターネットショッピングの店舗数は約3万店あると言われているが、その中でも ひときわ異彩を放っているのが「お米」のショッピング【 米米ひろば 】である。
素人が考えると、お米の販売はネットショッピングには向いていないように思われるが 、【 米米ひろば 】はインターネットの世界にしっかりと根づいている。

【 米米ひろば 】を運営するのは岐阜米穀株式会社(岐阜市、小塩幹雄社長、資本金 1千万円)である。明治35年(1902年)創業の米及び米加工品の卸売と小売り業 の会社で、1983年4月に株式会社になった。
【 米米ひろば 】の店長は井戸貞子(仕事上は旧姓)さん。株式会社設立時にはまだ 前職(教職)に就いていたが、1984年3月に教職を離れご主人の仕事をサポートす る事になった。
売上規模は卸、小売部門合わせて16億7千万円(2000年6月末決算時)で、従業 員は契約社員、パートを含めて22名である。

井戸店長がパソコンを始めたのは1987年7月のこと。MACの販売店をやっている 知人から、おもしろいコンピューターがあるからと誘われ、マッキントッシュプラスを 購入したのがきっかけである。
ネットを利用し始めたのは1994年7月からで、新聞で見たパソコン通信の記事に興 味を覚え、ニフティに入会した。1996年3月には中小企業家同友会の仲間によって 最初のホームページが立ち上げられた。
1997年3月には社員全員にノートパソコンを配付し、ニフティの「ホームパーティ 」という小規模なコミュニティ運営機能を使い、ネット上に社員のコミュニケーション の場を開設した。翌月にはホームパーティより大きい「パティオ」という広場を立ち上 げ、2001年1月現在では、目的別に7つの「パティオ」を使い分けて社内通信を行 っている。E-mailのアドレスはtara.ido@nifty.comである。通称「たらちゃん」である が、ヨチヨチ歩きの幼少の頃、「サダコ」と発音できず近所の小供たちに「タラコ」と 呼ばれていたものが、そのままニックネームになってしまった。

1994年ニフティオンラインショップのことを知り、ニフティに「お米」を扱うお店 として出店したいと打診するものの、食糧管理法がネックになり時期を待つしかないと いう結論に達した。半年後に、食糧管理法の改正があるらしいとの情報が入り、準備を 始める。
食糧管理法に代わり新食糧法が施行になった1995年11月1日を待ってニフティサ ーブ上に【 米米ひろば 】をオープンした。新法で可能になったショップとして、新 聞やテレビ等の取材が殺到した。
1999年3月1日には「ニフティハイパーショップ」上に出店、引き続き同年7月1 日には楽天市場店(http://www.rakuten.co.jp/kome/)を開設した。今ではここをベース にして運営され、ニフティの決済サービス iREGi(※1)活用のため「ショップニフテ ィ」にも出店されている。

出店に当たり苦労したところは、上にも記載した食糧管理法の問題と、クレジットカー ド会社との通販契約である。今では信じられないかも知れないが、5年前にはまだイン ターネットショッピングが一般化しておらず、クレジットカード会社との契約ではどこ のショップも苦労したようだ。 これは今や売れ筋ショップの代表格である「家具のアオ キ」でも同様であったようだ。
「家具のアオキ」については拙著「間違いだらけのIT常識」(明日香出版)に記載し たので是非参考にして頂きたい。
思いの外やさしかったところは、受注にかかる処理と、新しいことを始めるに当たり予 想された、業界からの風当たりがなかったことである。

オンラインショッピング進出のきっかけ、決断のポイントはと聞けば、「ニフティのオ ンラインショップのことを知り、パソコン通信を通じて全国に自由に販売が出来れば面 白いと思った。オンラインでお米を販売する米屋は一軒もなく、まだ誰もしていないこ とに挑戦することにも意味があった。」と「たらちゃん」はチャレンジ精神旺盛である。

開設に当たり準備したことといえば、まずはネーミングである。パソコン通信を通じて 、農家と消費者が集う「ひろば」になるべく、願いを込めて、【 米米ひろば 】と名付 けた。

開店直後の朝日新聞(1996年2月18日)のインタビュー記事を見ると、「たらち ゃん」の熱い思いが伝わってくる。
一言でいえば「農家と消費者を結ぶ仲介役」として、日本の米文化やたんぼを守ろうと いう決意表明と受け取れる。とはいえ肩に力を入れているところは全く感じられない。 キャッチフレーズは「白米、玄米、胚芽米。おいしくて安心できるお米を食卓に!!」 である。
調査、モデル見学に関しては、ニフティの他のショップで買い物をした程度であった。 品揃えは、自社製品だけでなく、おいしいお米を栽培していると評判の農家にも声を掛 け、農家直送を加えた。
決済は、クレジットカード、配送会社の代金引換、銀行振込で、現在はこれにiREGiが 加わった。配送は、ヤマトと西濃運輸に委託している。

売上状況をみてみよう。スタートした1995年11月の売上げは3万円ほどであった が、新聞、テレビの宣伝効果もあり、翌月は20万円弱となった。
2000年を迎えてから、ニフティサーブとニフティハイパーショッピング、楽天市場 の3店合計で月額100万円程度の月が続く。売れ筋ショップの目安「月商100万円 」のライン上にいる。

オンラインショッピングの場合、頭で描いた通りには行かない事が多いが、予想外にう まくいった事もあるようだ。前にも述べたように「販売業務のメンテナンスに掛かる時 間が、思ったより少なくてすんだこと」である。現在、日々のオペレーションは2名で 行っているが、受注業務から伝票発行、出荷準備まで含めて一日延べ2時間程度の負担 である。
逆に思わぬ課題は「ネット上やメールで、相互の勘違いや誤解が生じたとき、対面販売 や電話での通販とは異なり、細かいニュアンスが伝わり難く、問題解決に時間を要する こともあり、もどかしさを感じること」である。
うれしかった事は「温かいメールをいただいたり、掲示板で対話ができたこと」と、ネ ット上でのコミュニケーションに魅力を感じているようだ。

「たらちゃん」は「コンピュータ門外漢」と謙遜しているが、なかなかの使い手であり 、勉強家でもある。まず会社の経営管理の様子をみてみよう。
1993年に西研究所主催のMG(※2)に参加し、それ以来MGのファンである。
「それまで簿記のセミナーを受けても、さっぱりわからなかった会計の仕組みが、MG 一回で根本の部分が理解でき、目から鱗の思いであった」と「たらちゃん」は評価する 。以後、社員全員で社内MGをするようになり、MGを社員共通の経営管理の道具とし て根づかせようとしている。
「たらちゃん」はMGのことを共通言語と称している。会社の仕組みを理解するととも に、共通言語を持つことで全社的なベクトル合わせが容易になると考えている。

新しい技術や情報の習得、収集にも余念がない。株式会社コンピュータリブ(※3)主 催のホームページ作成とパソコン教育の教室に時々、岐阜から駆けつける。
今後の計画としては、ホームページを利用した「食と健康」にまつわる情報発信を広げ て行くことである。こちらの方は関係会社の株式会社ライスアイランドからコンピュー タリブ社に委託し、情報発信基地(http://www.riceisland.co.jp/)を開設した。
コンピュータリブ社に行ってみると、「たらちゃん」が全国から取り寄せた玄米や無農 薬野菜がところ狭しと並んでいる。ライスアイランドに掲載する写真を撮るために用意 されたものである。

※ 1.iREGi (アイレジ)   ニフティが提供するインターネット決済サービスで、出店社はクレジットカード会社と加盟店契約を結ぶことなく代金を回収できる。一方、利用者はカード番号を入力することなく、安全かつ簡単にインターネットショッピングを利用できる。

※ 2.MG(マネジメント・ゲーム)   株式会社西研究所(西順一郎所長)が開発したビジネスゲームで、本格的な決算処理が組み込まれている。ビジネスマン向けの教育ツールとして広く普及しており、毎月東京で同研究所主催の研修会が開かれる。西所長の最新著書に「人事屋が書いたCF(キャッシュフロー)の本」(ソーテック社)がある。   (http://member.nifty.ne.jp/nishiken/)

※ 3.株式会社コンピュータリブ (http://www.computerlib.co.jp)   「やさしくデジタル」を合い言葉に、1998年6月に設立されたインターネッ トサービス会社。中小企業や個人を対象に、インターネット・ドメイン取得から   ホームページ開設・運営、デジタルコンテンツの作成、パソコン教育までトータルなサービスを提供する。2001年3月にはホームページを使った「写真でコミュニケーション」 Mr.Cheese" という情報データベースサービスの提供を予定している。(http://www.mrcheese.co.jp)

以上


 
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