有限会社イーアレー
■現在位置[サイトマップ]:ホーム>鳥井閑の実践的作詞作曲講座

鳥井閑の実践的作詞作曲講座

鳥井閑の実践的作詞作曲講座in2BEAT
←前の講座
-12- 歌い応え
  新橋の2BEATに通い始めたのはまだ10月もはじめの頃だった。それからはや2ヶ月近くがたち、ここで飲んで、しゃべって、ママの美味い料理を楽しむことがすっかり身に染み込んできた。そして音楽を聞く楽しみは私の生活をちょっと変えてくれた。
 仕事で気を使うことはあれど、日々の生活はさほど変化に富んだものでもなく、失業率が5%を上回るようになっても特に将来に不安を感じるわけでもない。しかし、いつかは自分にも社会不安の余波は襲ってくるだろう。今はただ目前に迫っていないだけだ。そして将来への確固たるビジョンも持てず、なんとなく手探りで進んでいる。恐らくほとんどのサラリーマンがそう感じながら日常をこなしているのではないだろうか。
 2BEATに来るようになってから、私は音楽を聞き、音楽を通じて人と話をする楽しみを知った。ハッキリとした、あるいは漠然とした不安を感じつつも、楽しい夜を求める人が2BEATへくる。流れる音楽と会話は時間や空間を満たし、そして心を満たしてくれる。
 今日の2BEATの夜は美味いピーナッツの話で始まった。お酒を楽しむコツは小さな事を徹底的に議論することにあると思う。決して仕事の話でくだをまいてはいけない。そして、今夜は鳥井閑の作詞作曲講座だ、少しアンニュイな気分だった私は、お酒を飲みながらじっくり音楽に浸ることにした。
 「今日のテーマは歌い応え、これを歌うと"歌を歌ったなあ〜"、と思える歌です。この店では何回か歌っているのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが。これちょっと怖いですよ、なかなか終わらないですから。」
最初の曲の題は「4時間飛べば夏」。悲しいことがあると必ずといってよいほど"北へ行く"という言葉がでてくるが、これを南に行ってみればどうなるかと考えて出来た曲だそうだ。相変わらず着目点が面白い。
 だが、ギターで刻まれたリズムは低く悲しげな音だった。

  ♪4時間飛べば夏♪

  悲しみ抱いて北へ旅する 涙も凍れと言わんばかりに
  そんなに自分を苛めちゃ駄目だ そんな時は南へ飛べばいい
  四時間飛べばそこは夏 夏 夏 Wohho そこは夏
  裸足の子供が車に近寄り新聞売る
  獲物を追うよな目つきで煙草売る
  貧しくとも暗さなんてない
  そこは夏 夏 四時間飛べばそこは夏
  生きる力が溢れている
  裸足の子供が新聞売る、煙草売る
  そこは夏 夏 四時間飛べばそこは夏

  思い出探して北へ旅する 幼い昔に戻る気がして
  故郷なんてどこにもありゃしねーさ そんな時は南へ飛べばいい
  四時間飛べばそこは夏 夏 夏 Wohho そこは夏
  こぼれんばかりの客乗せてジプニーが行く
  派手な色を塗りたくってジプニーが行く
  強い日差しにも負けない色だ
  そこは夏 夏 四時間飛べばそこは夏
  白い肌は場違いさ
  派手な色したジプニーが走る
  そこは夏 夏 四時間飛べばそこは夏

 歌が進むに連れて曲調は上がり、鳥井閑の歌声が力強く響き出した。最初の警告通り確かにちょっと長いが、それを飽きさせずに聞かせる鳥井閑の声はなかなかだ。日本から4時間ほどで行けるところ、東南アジアをイメージしているそうだ。
「今は冬だから良いけど、夏にこれをやると暑くて聞いていられないですよ。」と鳥井閑。
そして二曲目は「Ghost Writer」、疲れた様子もなく、鳥井閑は途切れなく歌い始めた。

  ♪Ghost Writer♪

  Ghost Writer Ghost Writer
  今日は青春歌手になり切るのさ
  不幸な生い立ち ものともせずに
  青春の夢を歌に賭けて 恋の甘さも捨てて
  歌一筋に生きて行く
  それが青春さ それが青春さ
  こんな風にありもしない事を書き綴って行く
  Ghost Writer Ghost Writer
  仮面の下で生きている

  Ghost Writer Ghost Writer
  今日は政治家さんになり切るのさ
  誹謗中傷 恐れもせずに
  男のロマンを正義に賭けて お金の誘惑も捨てて
  自由のために生きて行く
  これが政治家さ これが政治家さ
  こんな風にありもしない事を書き綴って行く
  Ghost Writer Ghost Writer
  闇の世界に生きている

  いつか、書きたい事を書いてみたい
  非情な世間を恨みもせずに
  溢れる愛をペンに託し はやる気持もそのままに
  希望の道を切り開く
  Ghost Writer Ghost Writer
  時代の来るのを待っている
  Ghost Writer Ghost Writer Ghost Writer

  歌い応えのある歌だろうが、聞き応えも充分にあった。今日の歌は、どん底でも先へ進むことを教えてくれる歌だった。なんだかんだ言っても結局は進むしかない。信じられる将来があるかどうかはまた別の問題なのかもしれない。流れる歌が、何気ない人との会話がそのことをふと思い出させてくれる。だから私は2BEATに足を運んでいるのだと思った。


文責 ゆうき

←前の講座
-12-
 
| ホーム | IT事例 | プロフィール | お問合せ | サイトマップ |
© 2001-2005 e-alley