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鳥井閑の実践的作詞作曲講座

鳥井閑の実践的作詞作曲講座in2BEAT
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-14- 時の流れ
 2BEATでの鳥井閑の作詞作曲講座も遂にあと2回となった。あっという間である。
「もうすっかりお馴染みなのに終わっちゃうんだね。」とママ。
「でも、楽譜も見ないのにちゃんと歌えるのですね。」とマスターが言った。
「いや、ちゃんとした楽譜なんて無いんですよ。その時々でちょっとづつ変わっていたりしますからね。」と鳥井閑。
「そうだね、ちょっと違う感じになっている時はあるね。」と、これは常連客の感想。
場所や雰囲気、聞き手によって歌も少しづつその姿を変えていくのだろう。

「こんばんは。」 ギターを爪弾きながら、鳥井閑がカウンターの中でしゃべり始めた。
「始めた頃はまだ、10月で、今はもう12月です。早いものですね。そして今日のテーマはまさに"時の流れ"です。」
「最初は"名もなき川のほとりで"と、ちょっと文学的な題をつけておりますが北上川を歌った歌です。」
ぽろぽろと流れるようなリズムが刻まれた。

  ♪名もなき川のほとりで♪

  流れに映った二人の影が 花びらの中で揺れました
  あれは幻か
  この川が北上川のように 名高い川なら
  君は愛に気づいたでしょう
  一人佇(たたず)む 名もなき川のほとり
  花びらは今日も流れます

  都会の風が優しく吹いて 君を誘って行きました
  それは寒い夜
  この川が石狩川のように 豊かな川なら
  君は強く生きたでしょう
  一人佇(たたず)む 貧しき川のほとり
  冷たい風が流れます

  汚れた空と冷たい世間 君は疲れてしまうだろう
  帰れ故郷へ
  この川が千曲川のように 名高い川なら
  君は直ぐに戻ったでしょう
  一人佇(たたず)む 小さな川のほとり
  清らかな水は君を待つ

拍手が起こった。美しく、清らかな歌詞とリズムだった。
「鳥井さん、これはいつ作ったの?」お客さんから質問がでた。
「多分これは20代ですね。」
「若かりし頃よね。」とママがからかった。

  ♪風の色♪

  風の色を季節を塗り替えた 風の色は若草色
  空の青さに溶け込んで行く
  二人を包むものはみんな 明るいメロディーみたいねと
  あなたは瞳輝かせた
  春の陽気に浮かれて舞う 花びらが髪に絡みついた

  風の色を季節を塗り替えた 風の色はマリンブルー
  潮の香りにむせ返る
  人は醜さ、さらけ出して それでも愛し合うのねと
  あなたは涙浮かべた
  力強く打ち寄せる波が 二人の声をかき消して行った

  風の色を季節を塗り替えた 風の色は枯れ葉の色
  重たい気分立ち込める
  私は強い女だから 一人でも生きて行けるわと
  あなたは唇噛みしめた
  冬の支度を急ぐ街が 静かに別れを見つめていた

 儚い風の色を歌った歌詞のせいだろうか、それともギターが奏でた今にも途切れそうなリズムのせいだろうか、少し物悲しい雰囲気が2BEATに漂っていた。歌を聴き、皆それぞれふける思い出があるのだろう。
「風に色があるんですか?」と綾ちゃんが聞く
「あるわよ。」とママが言った。
ママが見た風の色とはどんな色だろう。鳥井閑の歌った歌はこうして一人一人の持つ昔を思い起こさせる。歌詞はリズムに乗り、聞く人にするりと入りこんで様々な事を思い起こさせ、そしてひとつの言葉にたくさんの意味が与えられていく。歌とはそうやって広がっていくのだろう。

文責 ゆうき

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