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鳥井閑の実践的作詞作曲講座

鳥井閑の実践的作詞作曲講座in2BEAT
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-15- 環境

 最後、である。鳥井閑の作詞作曲講座は今日の15回目をもって終了することになっている。
作詞作曲講座最終回の夜といえども、2BEATではいつもの夜が始まった。いつものおちゃらけキャラ達が集合し、いつものお気楽な会話に花が咲き始め、私はすっかりその環に組み込まれていることに、いまさらながら驚いてしまった。すっかり私も2BEATの"懲りない面々"の一員である。

「鳥井さん今日で最後ですねえ、じゃあ涙をこらえて歌ってもらいましょう!」綾ちゃんがにこにこしながら鳥井閑作詞作曲講座最終回の始まりを告げた。本当に最後なのだろうか?実は最後だといって来週来たらまた歌っているんじゃないかと思わずにいられない雰囲気だ。
 そしていつも通りの鳥井閑が、いつも通り穏やかにしゃべり始めた。
「今日まで、15回に分けて行ってきたこの講座なんですが、毎回テーマをつけておりまして、それぞれのテーマに当てはまるように選曲していく作業がとても面白かったですね。最初のテーマは「海」でした。そして今回の最終回は「環境」がテーマです。海から環境へとつなぐことで、最後に始まりに戻るように意図しています。」

  ♪小さな公園♪

  どこにもあるような 町の中の小さな公園
  疲れを知らない子供達が遊び回り
  咲き残った夏の花が秋風に揺れる
  二人の思い出の小さな公園

  どこにもあるような 若い二人の小さな出会い
  子供と一緒にボールを追い駆けた
  子供達の無邪気な仕種に顔を見合わせた
  二人の思い出の小さな公園

  ある日、公園からボールは飛び出した
  君は慌ててボールを追い駆けた
  急ブレーキの車の音、かん高い悲鳴
  僕はその場に立ちすくんだよ

  どこにもあるような 町の中の小さな公園
  僕は一人ぼんやり見つめる、すべり台を
  穴のあいたすべり台は誰も直さない
  二人の思い出の小さな公園
   (Humming)

続いて二曲目である。

  ♪街のインテリア♪

  この街を一目見て 好きになりました
  碁盤目に走る並木道 色とりどり家々が並びます
  生け垣の前の広い歩道では 子供達がはしゃぎます
  街のインテリア すてきなインテリア 街中が公園みたいです
  だけど何か物足りません

  春雨に雨宿り ブティックの軒先
  びしょ濡れのあなたが飛び込んで 月並みだけど 愛の始まり
  雨に洗われた鮮やかな若葉 心うきうき歩きます
  街のインテリア すてきなインテリア 二人が街を飾ります
  そうです、これで決まりです

  歩道に落とす影は濃く
  深い緑の木の間から こぼれる光、眩しくて
  あなたの姿見失ううちに あなたは一人で旅に出ました
  街のインテリア 孤独なインテリア 帰り来る日待ちわびます
  まだまだ余裕があります

  たまの便りも途切れがち
  心変わりに気づく頃 いつの間にか街中冬景色
  道往く人のはく息白く コートの襟立て歩きます
  街のインテリア 悲しいインテリア 涙も街を飾りますか
  それでもこの街大好きよ

  街のインテリア 街のインテリア 喜び悲しみ 散りばめて
  夢のような街になるのでしょうか

「私がこの歌で好きな部分は い〜ろどりどり家々が〜 のあたりです。あとは、道行く人の吐く息白く〜のところで、実際に息を吐いていて、その感じが気に入っているのですが、聞いている人にはちょっと分かりにくいみたいですね。」
鳥井閑ならでわのこだわりの演出があるようである。例えその一つ一つに気付かなくても、丁寧に歌う鳥井閑の思いは歌全体に流れ、聞き手に伝わるのではないだろうか。
そして、最後の曲が始まった。

  ♪地球を我等に♪

 故郷の美しい小川
  学校の帰りに裸足になって 魚と一緒に遊んだ小川
  蓮華やタンポポ咲く中を 快いメロディーで流れる
  今はどぶ川となって 魚は浮き上がる
  あの美しい小川を私に

  落葉の積もった細い道
  小鳥の歌を聞きながら 君と腕組み歩いた小道
  二人とも黙っていても 絵のように色づいた林
  今はみな枯れて 小鳥は飛び去った
  あの美しい林を私に

  どこまでも青い空と海
  君の面影を忘れるために 夢中で泳いだ広い海
  どんなに辛い事だって ちっぽけな事と思わせる空
  今は黒く濁り ロマンは消えた
  青い空と海を私に

  美しい小川 美しい林 青い空 青い海
  あの素晴らしい地球を我等に

 最後の曲はジョーンバエズの「勝利を我らに」やウッディ・ガスリーの「我が祖国に」などの大作を意識し、それらを日常的なものに置き換えて作った曲だとのことである。身近な出来事をじっくり観察し、詩にしてしまうところが "鳥井閑らしさ" だろう。

 今回の作詞作曲講座のために、彼はこれまでに作りためてきた曲をまとめあげ、 「海」で始め、そして「環境」で締めくくった。この一連の流れの中で鳥井閑は 人そのものを、人と人との関係を、人の抱く夢や幻想、憧れや執着といったものを歌い、人生の喜び、笑い、悲しみ、絶望、そして希望の存在を示してきた。歌があった楽しい夜に私は感謝しなければいけない。

 「トリカン御疲れさま〜!」 綾ちゃんが拍手をすると、店内からも同じように拍手が起こった。これで、本当に最後のようだ。もうすっかりお馴染みのトリカンの呼びかけを聞くことはもうないのだろうか?いや、きっとあるだろう。ひょっとすると来週あたりでも一杯飲みに来れば、鳥井閑が歌っているのではないだろうか?
まだまだ2BEATの夜は続きそうである。


文責 ゆうき

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